空のむこう
 二人の間に割って入れない、と思うのはバルトだけではなかったらしい。
「なんでかな、ああいうときは……話しかけられない」
 ビリーはそう言って、部屋の窓から、陸橋に二人で立っているフェイとエリィの姿を見た。陽の沈んだニサンの空には、無数の星が輝いている。二人は恋人同士だから、ロマンチックな夜空を見あげながら愛をささやいていてもおかしくない。それはそれで、割って入るのは失礼な話だ。けれど、そういう意味ではなかった。
 まるで二人は、きらめく星の姿を見つめているのではなく、とおいとおい惑星を透視しているような、そんな気がするのだ。
 二人のあいだには、不思議な空気が流れている。
 なにも知らなかった頃からそうだった。本人が思っているほどには空気が読めていないビリーでさえ、二人の間に割って入れないと言うのだから、みんなもバルトと同じように思っているのだろう。
「せっかく皆で集まったが、あれじゃあ放っとくしかないな」
 リコまでがそう言って、バルトもただうなずくしかなかった。
 かつての仲間が、ニサンに集った夜だった。あれから何年も経ち、バルトやリコは多忙な生活を送っていた。フェイとエリィは、しばらくニサンに身を寄せていたが、いまはラハン村のあったあたりに住まいを移していた。それぞれが、それぞれの日々を送っている。キスレヴに留学しているマリアはずいぶんと少女らしくなった。相変わらず孤児院を運営しているビリーは背が伸びて、バルトの身長に迫って来ているので油断がならない。
 みんながどことなく憂鬱になって二人の姿を見ていると、シタンが立ち上がった。部屋を出て行こうとするので、バルトは驚く。
「シタン先生?」
「私には、あの二人が寂しそうに見えますよ。こんなときに二人きりにしているのは親切とは思えませんね」
「そう、かな?」
 シタンは以前よりどこか丸くなった笑顔で、ええ、と頷いた。シタンはやはりフェイらとともにラハンに戻っている。いつもの様子を知っているからそう思うのかもしれなかった。
「私は行きますよ。若くんも来たらどうですか?」
 バルトはどうしようかと迷った。部屋を振り返ると、みんなも困った顔をしている。エメラダだけは例外で、無表情で立った。彼女もラハンで暮らしている。いつも会っている人たちには、わかるなにかがあるのかもしれない。
 ただ、シタンにせよ、エメラダにせよ、普通とは違う認識で二人の傍にいるような気がするから、同じ感覚は持ちにくい。たとえバルトがフェイの傍で生活しているのだとしても、彼ら二人と同じようには思えないのじゃないだろうか。
 行くのならば、みんなにも来て欲しかった。シタンとエメラダは来そうだが、その中にまじるのはなんだかいたたまれない。バルトがすがるようにビリーの顔を見ると、ため息をついて、彼は立ち上がった。
「行こうか」
「おう」
 バルトは苦い顔をして、ビリーはにやりと笑う。これで貸しをひとつ、とでも勘定しているんだろう。ため息だ。
 というわけで、まるで昔のように、ぞろぞろと街を歩いて橋を目指した。何人もいる集団だから話し声が響いたらしく、近づくとフェイとエリィは笑って手を振って来る。その顔には、なにかおかしがたいものの残滓があって、笑って手を振り返しながらも、バルトはどこか、ぎこちないところが出来てしまった。それが目立ったのか、マルーが脇からつついて来る。
「若」
「怖い顔するなよ」
「もう、なんでも考えてることが顔に出ちゃうのは、いつまでも直らないよね」
「そんなことないだろ」
 マルーも変わった。ビリーと同じように背が伸びて、ずっと女性らしくなった。あの頃は、アヴェを取り戻すために戦っているバルトのことを気にしたり、自分の力なさを悔しがったりしていたから、少女らしく振舞うのを拒んでいた。それに、自分があまりにも教母らしくなってしまうことで、死んだと言われている母親のことを肯定してしまうのも怖かったのだろう。だから、教母にしては型破りだったし、少年ぽく振舞っていたのだ。
 いまは、恋もしているらしい。まだ世間様には内緒なのだが、「若にだけだよ!」と言ってずいぶん前に教えてくれたので、バルトは知っている。うまくいっているはずなのだが、その相手のほうからは一切報告がないので、その件に関してはバルトはやや苛立っていた(ちなみにその相手は今回、ブレイダブリクで留守番だ。……バルトと一緒にいなくなるわけにはいかないのだ)。
 バルトのせいではないと思うのだが、橋の上はややぎこちない。広くもない橋の上は満員で、ニサンに暮らすだれかが見かけたら、いったいなんだろうと仰天するに違いない。
 だがシタンはものともせず、笑って二人の間に立った。
「なにを話してたんですか、二人とも」
「いろいろだよ。ここでも、いろいろあったから」
「そうですね。いろいろありましたね。始めてここへ来て、聖堂にある絵を見たときには驚きましたっけ」
 エリィは笑った。
「私も、あれを始めて見たときはちょっと気味が悪かった」
「おや、いまでもそう思うんですか?」
 シタンのその質問は限りなく意地の悪いものだったろう。だれもが出来ないようなことをして、だれもが聞けないようなことを聞く。シタン・ウヅキは健在だ。ビリーが「はあー」とため息をついた。
「それはともかく、せっかく集ったのに二人でいることはないじゃないか。いつも、二人でいるんでしょう」
「そんなことないよ」
 フェイはそう言って苦笑した。
「いつもはそんなに、前のことを話さないんだ。けど、今日はみんなで集まったから、どうしてもそんな話になってしまう。どんどん、どんどん記憶をさかのぼって、そうしたらふと気になったんだ。人間というのは星星の間を艦で旅して、そのひとつがこの惑星に墜落してしまったわけだよな。人間はあまねく宇宙に満ちていたらしい。とはいえ最初にゾハルが生じ、人間が生じた惑星があって……そのことを考えていた。それってまだあるのかな。その人たちは、俺たちとなにかをつなぐことは出来るのかな」
「一万年前の文明ですか」
 シタンは興味深そうに眼鏡を正し、考えこむ。
「一万年もの間、文明が続くというのは難しいでしょうね。我々のこの惑星の歴史も一万年になるわけですが、それでも、幾度か歴史の断絶が起こっています。まあ、その文明にあのミァンやカインのような存亡を決定する第三者がいたうえでの話ではありますが……一万年続く記録媒体の存在は殆どないわけですし、難しいでしょうね。そう考えると、たとえ、宇宙間航行を生み出したような高い技術力があっても、いま彼らがいるとは限らないでしょう。この惑星のように、取り残された文明はあちこちにあるかもしれませんが。そもそも、その文明がいまもなお機能しているのなら、この惑星に墜落したデウスのことを放っておくはずはないですからね」
「ああそうか、確かにそうだね」
 フェイはなんだか救われたような顔になる。だからたぶん、シタンが言ったように、二人きりにしていたのはよくないことだったんだろう。いつもは昔の話をしないというのは、こんな空気にしないためなのだろうか。こんなのが毎日だったら、息が詰まるし、とても悲しい。
 エリィはそれを聞きながらもまた空を見上げていた。まるで、その星星が本当の住処で、いまは虜囚の身なのだとでもいうような、寂しい顔をしていた。
 シタンの言葉はまだ続いている。
「たとえその文明があるとして、我々からコンタクトを取らねばならないとすると、星間航行艦が必要になります。あのマハノンみたいなものですね。我々のいまの技術で建造するにはどれぐらいかかりますかね? ゾハルがないいま、簡易な発動機しか作れないのが実情です。これでは、この惑星を出るのだって難しい。それに燃料が……」
「あーもう、いいって。そんな話したって、だれもこの惑星から出て行ったりしないんだ。もうやめようぜ」
 バルトが言うと、みんなはじっとバルトの顔を見た。なにかまずいことを言ってしまったのかと思ったが、フェイが笑顔でこう言ったからいいのだと思うことにした。
「そうだよな。ハハ、とんでもないようでいて、バルトが一番リアリストだよ」
「当たり前だろ」
 それからまた、みんなで宿泊所へ戻り、積もる話を互いに披露した。痛みよりも、幸せなことばかりを話すようにして。悲しい物語は山のようにある。失ったものはひとつじゃない。だが、みんな生きていた。悲惨な戦いの日々はついこの間まであった気がするが、それでも、ここに集っただれもが、戦いに生きているのではなく、暮らしに、生きていた。



 夜も更けると、会はお開きになって、バルトは女性陣を送って聖堂まで歩いていた。マルーを含め、彼女らの部屋は修道院に用意してあるのだという。みんなが集った家も丸々一軒借りているし、やや窮屈でも泊まるには十分な部屋数があるのだが、バルトが「どうして修道院に」とマルーに聞くと、彼女は舌を出して、「若のすけべ!」と言った。
「女の子には、女の子同士でしかしたくない話があるんだよ」
「それってどーゆう……」
 と聞き返そうとしてバルトは口ごもった。やや生々しい想像をしてしまったのだ。それで、こっそりとマルーの耳に顔を寄せて、言ってしまった。
「シグのことさ……ほら、歳なのは仕方ないんだし。あんまり、言うなよ」
「若、なに想像してるのさ」
「いや、だって、そうだろ」
「好きな人のこと、そんな風に言うわけないでしょ」
「ま、それも、そうか」
 ははは、と笑ってごまかしたが、胸がもやもやした。
 聖堂にたどり着いたバルトは、それぞれにお休みを言って引き返そうとしたが、あとから追って来たエリィに呼ばれて足を止めた。
「待って、バルト。フェイに伝言があるの」
「ああ、なんだよ。愛してるとかはやめてくれよ」
「そんなんじゃない。本当に、バルトは相変わらずなのね」
 エリィは昔から比べるとずっと穏やかな笑顔を浮かべた。いまの彼女を見て、かつてソラリスで軍人だった経歴を持つなど想像できる人間はいないだろう。人より背が高いだけの、ごく普通の女性だった。
「もしかしたら、フェイは今日眠れないかもしれないから……寝つけてないようだったら、私が『歌を思い出して』って言っていたと伝えてあげてくれない?」
「なんだよ、それ」
「フェイ、いろんなことを考えて、眠れなくなってしまうことがあるのよ。そういうときは、私はいつも歌をうたってあげているの。今日はそういうわけには行かないから……」
 ごく自然に、恋人のことを気遣うエリィの微笑みに、なんだか面映くなった。バルトにはまだそういう相手がいないから、ややうらやましい。シグルドに意地悪をして来たのも、少し反省した。
(マルーの手紙でも持って帰ってやったら、シグも喜ぶかな)
「おまえ、フェイのことを一番に考えてるんだな」
 笑いながら言うと、エリィは思ってもなかったことを言われたように目を丸くした。
「そうかしら」
「それを特別なことだと思ってないのが、いいんだと思うぜ」
「そう……かしら」
 しかしエリィの顔は懐疑を帯びたものになり、バルトはたじろいだ。
「なんだよ?」
 エリィは夜空を見上げると、歌をうたいだした。それは古く懐かしい旋律の音楽だったが、バルトの知らない言葉だった。イグニス周辺で話されている言葉でもないし、ソラリス語でもないようだった。鳥の鳴くような高い音が響いたかと思えば、地響きのように低い音へとめまぐるしく揺れ動く。美しいとは思ったが、不思議な歌だった。
「これがいつも、フェイにうたっている歌なの」
「なんの歌だ? ソラリスの?」
「ううん、違う。たぶんいつか……ずっと昔にだれかが歌っていたのだと思う。けどだれが歌っていたのかは思い出せない。いつかどこかで私がうたった歌に違いないのだけれど。きっとそのときもフェイにうたってあげたのだと思うの。だからこの歌を聞くと、フェイはよく眠れるのよ」
 昔、だれか……というのは、前世とかいうあやふやな領域でのことを言っているのだろう。エリィは近寄りがたい目で遠くを見ていた。距離ではなく、時間という遠さでのかなたを見凝めていた。
「憶えているのか?」
 そう尋ねると、エリィは首を振る。
「むしろ憶えていないの」
「その……おまえとフェイは、全部憶えているんじゃないのか」
「全部憶えていたわ。そう、憶えていた。もちろん、普通に思い出や記憶がある、というのとは同じじゃないわ。ただ、私の内部のどこかしらにデータの蓄積があって、それを引き出すことが出来ている、というだけなの。知っているし、……いえ、知っていたし、理解していたし、憶えていたわ」
「でもおまえ、いま歌のことは思い出せないって言ってなかったか?」
「そう、思い出せない」
「全部記憶があるのに? シタン先生は、おまえはいままですべての生を生きて来たエリィとかミァンとかの記憶があるって、言ってたぞ。フェイもそうだって。俺には想像もつかねえけど。……自分が、自分ひとりじゃ、ない?」
 バルトは深く考えるたちではないし、どうやら事態をまとめて説明してくれているはずのシタンの言葉は難解に過ぎてきちんと理解できていない。だからバルトの胸の中にあった言葉をなんとかして言葉にすると、エリィはやはり首を振った。
「それとは違うの。……私は私。エレハイム・ヴァン・ホーテンなのよ。戻って来てしばらくは、そうじゃなかった。私が生きて来た十八年間なんてちっぽけで、吹き飛ばれそうだった。けれどいまはもう、過去の私が他人のように思えるの。もう一人の私とひとつになったときには、あんなにもすべてがまざまざと私だと感じることが出来たのに。すべての私が、合わせ鏡に映るように認識できていたの。ああ、あれをしたのは私なんだな、これをしたのは私なんだな……いい記憶ばっかりじゃなくて、嫌なことも……私が悪かったことも……罪の意識もすべて、わかったの。なのにいま、目の前の鏡に映っているのは知らない人だわ。フェイもそうみたい。彼はウォン・フェイフォンで、でも、……もうアベルではないかもしれない。私たちは一万年の間この星の上で特異化された魂だった。私たちの魂は星の呪縛に捕らわれていたの。でも、その特異化された時は終わった。閉じた輪は開かれたのよ。だからかもしれないわ。私はもう、エリィではないのよ。フェイもアベルではないの。もうこの星のアダムではないのよ。少しずつ、記憶が薄れていくの。人は生まれ変わるわ。いかなる人間も、転生して過去生を忘れて生きていくのでしょう。それは星単位ではなく、たぶん宇宙単位なのだと思う。つまり、バルトの前世はこの星で過ぎたのではなく、……地球で過ぎたのかもしれないってことよ。一万年の間、私たちはそれが許されなかった。私とフェイには一期一会という法則はあてはまらなかった。でももう、それは終わった。これが最後かもしれない。死んだら私たちの魂は宇宙をさ迷いはじめるのだと思う。他の、普通の魂と一緒に。なにを言っているのか私にもわからないわ。朝、起きるたびにひとつずつ記憶をなくしてゆく。言葉通りの意味じゃないけど、わたしは、かつて私だった存在の集合体から、少しずつエレハイム・ヴァン・ホーテンへと脱皮していっている……まるで、卵の殻みたい。ひとつひとつ殻がはがれていって、最後に私がもう一度生まれるんだって。
 そんな私たちに、最後のほうまで残っているのは地球に対する思慕なのよ。それを理解できるのは私たち二人だけ。私たちしか知らないんだから、当たり前よね。それなのに刻一刻と記憶が過ぎ去っていくのよ。一万年の長い時にわたって魂の内に構築されていたものが崩壊していっているの。いつかすべて忘れてしまうんだと思う。みんな忘れて、そのとき私はどうするのかしら。フェイもね。……
 こんな不安を抱くのは贅沢なんだってわかってる。いままで私とフェイは予定調和の世界に生きて来たから、みんなが普通に抱いているような未来に対する恐れなんて知らなかったんだと思う。なのに普通の女の子になって、私はどうすればいいのか全然わからなくなっているの。……」
 エリィの言葉は支離滅裂だった。とてもではないがバルトに理解できることじゃない。ただ、言葉の中にある悲壮な喪失感に、思わず尋ねた。
「フェイと、別れんのか?」
「ううん、そういうんじゃなくて。まだなにもわからないわ。なにもなくなってしまったとき、本当に最後になにが残るのか。でも忘れていくのが恐い。この記憶は、私がフェイを愛していることの理由なの。だけどすべてを忘れてしまったら、私にはフェイを愛する理由がなくなるのかもしれない」
 怖いと言いつつ、エリィは怯えてなどいなかった。
「そういうときに本当に必要なのは、私の胸の内にある想いを見凝めること、なんでしょうね。……ソフィアという人はすごい人だったと思うわ。私はまだ、あれほど自分を見凝める勇気がない。いつか、立ちむかわなければいけないから、覚悟はしているけれど」
 バルトはなんと言っていいやらわからず、後頭部をかきむしった。とても壮大にいろいろと話をされた気がするが、実際のところとても単純なのではないだろうか。あまりにも人生が複雑すぎて視点が歪んでしまっているだけのように、バルトには思えた。
「マルーもそうだけどさ」
 バルトは肩をすくめて、そう言い出した。
「女子ってなんでも、理由を欲しがるんだよな。俺なんかスパッと決めたらそれで終わりだからさ、ずいぶん遠回りすんなって思う。シグとのことだって、すごく悩んで時間がかかったみたいだ。余計なことばっかり考えてるからだろって俺が言ったら、『若のこと考えてたんだよ!』って怒られた。けど、それってシグとマルーのことだろ。二人とも俺のことばっかり、考えすぎなんだ。別にそれが楽しいんならいいんだけどよ。
 内在の神とかいうのはそういうものじゃないのか。自分の胸の一番奥にあることって、余計な理由を全部はがした核心だと思うぜ。おまえがそれを見る準備をしてるっていうんなら、忘れてくことっていうのもいいんだと俺は思う」
 エリィはすぐに返事をしなかったので、的外れなことを言ってしまったのかなとやや反省しかけたバルトだったが、エリィはうん、と頷いた。
「私は一万年の間、この星に閉じこめられて来た。……もう自由になってもいいのよね。
 ありがとう、バルト。本当に。それじゃあ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。気をつけろよ」
 踵を返し、聖堂にむけて走ってゆくエレハイムの姿はさながら空を飛ぶ鳥のように軽やかに見えた。ニサンの聖堂を囲む木々の梢には、ヒメモリバトと呼ばれる鳩が群生していて、彼女の白い服の裾がその羽のように思えたのだった。





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あっ、石投げないで! だめよ!
たぶんこの話は……ゲームを終えてまもなくに思いついたものです。それから、ずっと、「ネタだしはしたけど書かなくてもいいもの」という分類のフォルダに入れたまま、八年が経ってしまったのでした。それを引きずり出してきたのにはわけがあって、去年ずっと考えていたソフィアという存在の総括として、あのとき考えたことはやっぱり書いておくべきことなのじゃないかなと思い出した。エリィの長ゼリフはほとんど、当時書いたままのものです。
ぐるりと一周大きく回って戻って来た感じですが、ここまで戻って来られたことにはとても大きな意味があるような気がします。ソフィアは歴代のエリィの中で特異な存在ですが、そもそも、接触者と出会う前の彼女らはソフィアが特異なようにけっして対存在らしいわけではないのじゃないかしら。そういう意味で、一万年の呪縛から放たれたエレハイム・ヴァン・ホーテンはソフィアと同じくらい、特異な存在になれるのだと思いたい。つまりこれはソフィアを巡る物語の最後の話になるのでした。……(080304)
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